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いつか愛してるという言葉がなくなるその日まで
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夏.目.友.人.帳 / 夏目 

 ほのぼの? 夏目くん視点
 ※変換ありません
 (リハビリ程度なんであんま展開とか考えなし)


やっと午前中の授業が終わった。終わりを告げるチャイムをみな心待ちにしていたかのように廊下や友達の席に寄っていく様子を見つめながら昼飯を食べるまえに一眠りしたいなどという思考が頭によぎった。女子のきゃあきゃあ騒ぐ声、男子のゲラゲラ笑う声。ああ、いつもと一緒の日々。
「夏目ー、飯食わないのか?」
「ん・・・眠くてさ」
「顔でも洗ってこい!」
「そーする・・・」
席をたった俺は昼飯かと思われるパンを机に並べている二人を残して手洗い場へ。渡り廊下のすぐそばにある外に設置されている水道はほとんど運動部が使うが、今日は特別晴れていてなんとなく歩きたい気分だった。ここまで晴れていると暑いを通り越してすがすがしい。まっさらな青は見ていて気持ちよかった。蛇口をひねると冷たい水が出てくる。ここの水道は水を運ぶ水道管が日陰にできていて日が出ていても冷たい。顔にバシャ、とかけると髪の毛がはりついて気持ち悪かった。
「夏目くん、何してんの?」
「へ・・・?」
すっげえ間抜けな声が出た。女の子の声がした。後ろを向くと俺の肩ぐらいの身長の女の子が立っていた。たぶん、同い年の子。終始笑顔でこちらを向いて夏っぽいサイドテールをいじっている。何してるって、顔を洗っているに決まってるじゃないですか、んて無神経な言葉を吐こうとしたが違うと気付いた。言い直す。
「眠いから・・・顔洗いに」
「夏目くんこんなとこまで洗いにくるの?几帳面ねえ」
「えっと・・・君は?」
あ、私知らない?なんてびっくりした顔をした女の子を見た瞬間に予鈴がなった。いつもは全然無視するんだが次が体育なのでそうもいってられない。早く着替えなければあとで遅れていって外周を走らされるのなんて目に見えている。この子には悪いけど打ち切らせてもらおう。
「ごめん次体育で・・・」
「あ、私こそごめんいきなり話しかけて」
「あ、うん」
じゃ、といってほかのクラスメイトと同じような別れ方だ。それとなくしゃべりそれとなく別れた。彼女は確か二組の人だったかなー、と思い出しつつも教室への道を急いだ。渡り廊下と俺の教室はなかなか離れていて、行きは眠い足できたのでのろのろ。そのうえあの子としゃべったおかげで昼飯の時間はなくなった。放課後にでも食おうと思って足取りを速めた。

体育は無事間に合った。どっちにせよ今日は長距離だったらしく外周を10周させられたんだが。長いマラソンを終え、みんなで地面と仲良ししているときにたまたま女子の話が耳にはいった。
「あーもうあっつい!」
「ほんとありえない!アイス食いたい!」
「ねえ駅前に新しいジェラートのお店できたの知ってる?」
「うそ、まじで?!」
行こうよ、なんていってる会話は耳にはいらなかったが新しいジェラート店は完全に頭にインプットされた。女の子って甘いもの好きだよなあ、ニャンコ先生も甘いもんすきだけど。ジェラートなんてみんな食べるのかなー。そんなどうでもいい話を考えてた。のにわけのわからない方向に思考が進む。
「(あの子・・・ジェラートとか好きなのかな)」
サイドテールについてた髪飾り・・・ヘアアクセがいちごアイスみたいな色だったのを思い出した。真っ青な空と彼女の髪の毛についていた赤をひどく鮮やかに覚えていた。二組に行く気にもなれず、人にこういう女の子知ってる?って聞くのもなんかいやで、その日はそのまま家に帰った。否、駅前によってから帰った。オシャレな看板のでているその店は女の子の好きそうな洒落た感じまるだしだった。ちっちゃいカフェみたいなもので「ただいまいちごフェア開催中」・・・今夏だぞ!季節無視しすぎだろ!
「あれっ?!夏目くんなんでここにいんの?」
「あっ・・・昼間の・・・!」
「偶然だねえ、家こっちなの?」
「いや、駅前で・・・えっと・・・ぶらつこうかなって」
あはは、不良さんじゃん、いちごアイス色が夕日と対照となって揺れた。逆行で彼女の顔がよくわからなかったけど、とりあえず彼女がこの近くに住んでるってことを教えてもらった。駅前なんて塔子さんの買い物に行くとき意外通らない。どうりで合わないわけだ。二組もちょうどクラスが逆側だし。
「私の家すぐそこのマンション。さっきの店おいしそうだよね」
「マンションなんだ。あ・・・あーいうの好きなの?」
「うん、嫌いではないな。ジェラートって名前がいいよね!」
オシャレなかんじしない、なんて聞くからつい笑ってしまった。食べ物の名前で食べるか食べないか迷うなんてわけがわからなすぎだ。でも確かにスパゲッティとペペロンチーノは食べ物は似てるけどペペロンチーノのほうがレベル高そうだよね、って話をして帰った。そうだな、けど一番パスタがおいしいんじゃないかっていうのを忘れてた。俺は必死だった。甘いものは大丈夫なんだということがわかったから。

なんでか知らないがその次の日も眠かった。けどその日は曇ってたからすぐ近くのトイレで顔を洗う予定だったがこっちの渡り廊下まできてしまった。あの子に会えるかもと思ったから。自分が恥ずかしい。まず顔も洗う必要なんてないのに二日連続で洗いにきている自体が恥ずかしいんだけど。するとまた柔らかいのどが鳴る感じの笑い声がきこえた。
「夏目くんっっ・・・今一人で百面相してたっふふっ・・・」
「うそ、はずかし・・・」
恥ずかしい。恥ずかしいけど恥ずかしいけど、なんだこのもやもや感。俺がアホな面しててそれがすっげー恥ずかしい。女子にそんなとこみられるなんてすっげー恥ずかしいんだけどなんだか俺が俺じゃないような気持ち悪さが、暑さがある、太陽なんて出ていないのに紫外線がかなり強い感じがした。
「どうしたの?熱あるとか?」
「え・・・?」
「昨日も顔洗いにきてたし・・・なんか心配じゃん」
あはは、またこの笑い方をした。またこのもやもやした感じ。その笑い方がなんだか突っかかるんだ。鼻をつままれたような、髪の毛をつかまれたような、夏の日差しようななにか。俺は「風邪は絶対ひかないから大丈夫」といってタオルで顔をふく。これ以上顔を直視されたらなんだか責められそうな感じがしたから。
「ねえ、大丈夫?」
「なっ・・・っ・・・うわあっ!」
「わっ・・・ご、ごめん」
彼女の手が、彼女の手が俺の額にそっと触れた。俺はそんな些細な事で過剰反応してしまった自分が情けないのと彼女を困らせてしまったのでまた恥ずかしい。なんで今日はこんなに恥ずかしい日なんだよ。なんでこういう日に限って二人きりなんだ。せめて妖怪でもいてくれたら気がまぎれるのに。俺と彼女のふたりだ、け。
「わわっ、夏目くん?」
「ごっごめんっ!」
彼女の制止を聞かず逃げてしまった。わかったんだ。このもやもやの招待が。俺は男のプライドとかそういうので恥ずかしいんじゃなくて「あの子」だから恥ずかしかったんだ。教室に戻ると待ってた二人はわけのわかなさそうな顔をしていた。きっと俺の顔今真っ赤。これこそ恥ずかしい醜態なんじゃないだろうかと思うんだがそんな考えに逆らって顔は紅潮するばかりだった。あの子が、好きなんだ。
「どーした夏目」
「いや・・・なんでもない・・・」
「そういや昨日女子が騒いでたジェラート店?今日三人でいくか?」
「・・・いや・・・遠慮しとく」
野郎三人でいくのも寂しいってのもあった。けどいつかあの子と二人であの洒落た店にいって俺もかっこつけてアイスコーヒーとか普段飲まないものを頼むと決めた。今決めた。だからそれまであの店の売り上げに貢献できなくて悪いが入店はしばらくないだろう。あの子の気をひくまでまっててくれ。




未来プラン



(すらすらっと書いてみました。夏目。純粋そうですね。田沼くんとかも書いてみたいです。結構長くなったしまったんで気が向けばレイアウト考えてサイトのほうに載せるかも。かも。090728)
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